みなさまお疲れ様です。以前発達障害の当事者の方は、なるべくアルバイトを経験しておくべきだというお話をしました。
→<第71回目>学生の発達障害グレーゾーンの方は、とにかくバイトしたほうがいい
この時はそもそも働くということの実感を持ってから就職すべきということと、人をマネジメントすることの難しさなどを学んでおくことが相当有利になることを説明しました。
今回は、ASD当事者で本業のほかに何か副業を探されてる方の為に発信していきます。おそらくほとんどの方は、副業で「何をするか」を模索されていると思いますが、その前に絶対できるようになってほしいスキルがあるんです。
今若い人たちの心の中では、終身雇用が終わっても安定を求めたい気持ちと、自由に好きなことを仕事にして生きていきたい気持ちが混ざり合って非常に不安定な状況になっています。
副業を勧めるインフルエンサーの方が多いので、自分も何かやらなきゃ!と思って動いてる人も多いと思います。
しかし、現実問題として副業に手を出せる人というのはある前提条件が必要になります。
ある前提条件とは、本業で上手に力を抜けることです。
本業の仕事がうまくいっていない状態で、さらに体にストレスをかけては、たとえどんな副業を選んでも成功しません。人間関係に疲れ果てていたり、仕事が覚えられなくて頭が混乱しているときに、「追い情報」をぶちこんでもパンクしてしまうでしょう。
副業である程度成功するためには、何を副業に選ぶか以上に、本業でストレスなく円滑に仕事を終わらせ、体力を残すことのほうが重要です。その仕組みづくりをしないまま無理やり他の仕事をするとほぼ間違いなく体調を崩します。
誤解しないでほしいのは適当に手を抜くということではありません。力を抜くということです。
ASDの傾向が強い方はこの考え方が本当に苦手です。具体的な指示をされずに力を抜けと言われると、サボれというのと勘違いしてしまいます。お客様の視界に入るところでぼーっとしてしまったり、レジ打ち中に集中力を切らして打ち間違いをしたりします。
この力を抜くというのは結構高度な技術ですが、もし何かしらの副業をやるなら体得しないといけません。では、具体的に上手に力を抜くにはどうしたらいいのか、自分の経験から説明していきます。
①そもそも、自分の特性に合わない職場に就職しない
もし自分が人と話すのが苦手なのに、体育会系の営業の会社に就職したら多分副業は難しいと思います。定時に帰れることも少ないため、家に帰ってから何かをやる気力が残っていません。(無理やり定時に上がるメンタル強者なら別ですが…)
また、与えられる命令が日によって大きく変化する仕事は非常に強いストレスになります。いま自分の職場が拘束時間や仕事のシステムなど、どうしても自分に改善ができないようなものが多いならぶっちゃけ辞めてしまってもいいかと思います。
辞めるということにためらいがあるのなら、考えてほしいことは、その会社にいて5年後、10年後にどのくらい給料が上がっているか具体的なイメージはあるか?ということです。もし公務員や大手インフラのように順調に昇進すればこのくらいは堅い、というようなイメージが作れる職場なら、辞めずにまず本業を頑張った方がいいかもしれません。
しかし、10年経ってもほとんど給料が変わらず、ただストレスや責任が増えるだけの会社なら、僕ならたとえ辞めないにしても出世の道は諦めます。責任の少ない部署への配置転換、昇進の辞退などをします。
僕は今の職場で発達障害をカミングアウトしておらず、責任ある立場に上がることを提案されたのですが、「役職はいらないですし給料も変わらなくていいので、定時で上げてください」と伝えています。そのおかげでメンタルをかなり安定させられています。
以前の記事で説明した通り、人のマネジメントは信じられないほど体力を消耗します。ASDやHSPの方にとって、自分の仕事の管理だって大変なのに、他人を何人も面倒みるなんて具合が悪くなってしまいます。
②日々の仕事をすべてルーティンワーク化する
仕事に慣れてくると、あまり考えなくても日々の仕事をこなせるようになりますが、なるべく細かくタイムテーブルを作り、〇時から△時までは~~をやるといったようなスケジュールを決めてしまった方がいいと思います。もちろん窮屈にしすぎると守れなくなってテンパるので、その辺の調節は日々工夫していくしかありません。
なぜある程度ルールとしてかっちり決めたほうがいいかというと、その方が頭を使わないからです。
このルーティンワークに頭をなるべく使わないというのは非常に重要で、ライフハックとしていろんな有名経営者が実践しています。スティーブジョブズが朝の服選びに時間をかけるのを嫌がって、一種類のタートルネックとジーンズを複数用意して着まわしたというのは有名な話です。
そうやってルーティンワークとして無意識にこなせる仕事を増やせば増やすほど、頭を使うことがなくなっていきます。なるべく意思決定のプロセスを少なくすることで、精神疲労をかなり減らすことができるようになります。
③職場の人と連絡先交換をしない
これ意外と大事で、深夜にどうでもいいことをわざわざラインしてくる人ってどこの職場にもいます。特にASD当事者の女性は気を付けたほうがいいでしょう。せっかく副業でブログや動画配信を頑張ろうとしているのに、職場の男性から食事に誘われたりすると、その対応に疲れてやりたいことがはかどらなくなります。
もしうまく断れないなら、通知をオフにしてラインを極力見ないようにするなど、工夫して返事を考える時間を減らしましょう。何度も「すいません寝てました」とか、「彼氏といたので携帯見てませんでした」と言えば、たいていの人は察して諦めると思います。
④恋愛を諦める
以前社内恋愛などをすべきでない理由をブログで書きましたが、誰かと恋愛をすることは副業においても最大の障壁になります。ブログや動画などで恋愛のプロセスそのものをコンテンツにする場合は別ですが、自分ひとりで没頭できる時間を確保できないなら、中途半端な覚悟で誰かと交際するのは止めましょう。
→<第27回目>※社内恋愛は止めとけ!:発達障害当事者の恋愛と性欲のコントロール
お金も無くなるし、時間もなくなります。無駄とまではいいませんが、将来のために自分がやっておきたいことがあるならば、そちらを優先するべきでしょう。Twitterの質問箱でも誰かと交際しているかよく聞かれますが、僕は今後もしばらく誰かと付き合うつもりはありません。
・・( ^ω^)・・・あれ、回を追うごとに記事が長くなっていってる・・・
とりあえず、総括すると力を抜くとは、周りの環境を自分のストレスの無いように工夫して作り変えていくことです。単純に休むとか、そういうことではありません。
今回はある程度療育が進んで、副業をやってみたいと考えられるようになった人向けに書いてみました。長すぎて読みにくかったらぜひ教えてほしいです(;^ω^)
これからも皆さんにとって有益な情報をどんどん提供していきます。
応援よろしくお願いいたします!
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