みなさまお疲れ様です。
いつもああしたらいいよ、こうしたらいいよ、というぶさえもんですが、
今回は僕がした失敗談をメインにお話ししたいと思います。
もちろん普段から失敗談や、そこからどうやって軌道修正したかを端折って結果だけ書くようにしているのですが、今回は失敗から、自分の経験からしか学べなかった貴重なことについて書きます。
お題は「アスペルガーのマネジメント論」
運良く(運悪く?)何かの責任者になってしまい、そこの全権を任された場合、どうやって人材をマネジメントすればいいかについて自分なりに書きます。
度々言及してますが、僕は銀行を辞めた後夜の仕事をいくつか経験しました。その中で、最終的に小さな店ですがキャバクラ店の店長を任されたことがあります。
風営法(客引き、スカウト)の厳罰化や店舗グループ同士の抗争で集客が上手くいかなくなってしまったことなど、僕の実力不足以外にいくつか理由はありますが、ある程度経験して「もう十分だ」と判断して5年ほど前に店を知り合いに引き継いで引退しました。
僕が店長に選ばれたのは、優秀だからではありませんでした。女性の扱いが上手いわけでも、頭の回転が早いわけでもないのになぜかそういう流れになったのは、ライバルの不在が最大の原因でした。なので、責任者だったということを今まで自慢げに前面に押し出すことはしませんでした(;´・ω・)
夜の世界は普通の職業と違い、禁忌とされる罪の種類が少しだけ違います。
なかでも一番やったらややこしくなるのが、自店の女性と付き合ってもめてしまうことです。
正直、現実は自店の女性と付き合っている黒服は沢山いると思いますが、夜の店だとバレたらかなりマズいです。
上手いこと隠すなり、バレても仕事に影響させないような大人な関係を維持できるならまだいいですが、たいていの人はそれが原因で店を追われることになります。僕の同期のほとんどが、そうやって風紀罰金を抱えて消えていきました。
僕は風紀罰金が恐ろしくてバイトのボーイ時代、キャストといっさい連絡先交換をしていなかったことから、ある程度信頼されていたのかもしれません。気づいたら社員になって3か月で主任、1年でマネージャーと、周りにライバルがいないことで、上昇志向がカケラもないのに勝手に昇格していました。完全に調子に乗っていたと思います。
前置きが長くなりすみません。
そんなこんなで、店長を任されることが決定した僕は、以前から勤務していた店を有給扱いで休み、どんな店づくり(レイアウトなどハード面と、人材などソフト面含め)をしたいかなどを考える時間を与えられました。
水商売は、商材が人と酒しかありません。
人をどんな風に扱うかによって店の雰囲気が大きく変わるし、ひいては売り上げにも直結します。人というのは、女性のキャスト以外に、当然男子スタッフも含まれます。あまりマネジメントがへたくそだと、あっという間に人材不足になって店がつぶれてしまいます。
どんなマネジメントをすればいいのかは人によって千差万別です。アスペルガー人にとってこれほど困る課題はありません。その時その時、人によって答えが違うものほど、ややこしいことはないでしょう。
たとえば、僕が困ったのは、
①厳しく、信賞必罰の徹底で雰囲気をしっかり締めていくのか、ゆるめにやって、多少のわがまま(軽微な遅刻、当日欠勤)は受け入れるべきか。
②そのやり方は自分のキャラに合っているのか。
③憧れの上司がいましたが、その経営手法は自分も真似できるものなのか。
他にもスカウトのバック交渉とか、給料システムと利益のバランスとか難しい課題は沢山ありましたが、自分が悩んだのはほぼこの三つでした。
そして、当時浮かれていて発達障害であることを完全に忘れていた僕は、最大の選択ミスをします。
①自分に逆らう人間は、その傾向が出た瞬間に指摘し、聞かないならば排除する。僕が来ただけで雰囲気がピリッとなるくらい厳しくやって、決めたルールを徹底的に守らせよう
②それがたとえ自分のキャラに合っていなくても、舐められないようにすれば人は言うことを聞くだろう。
③憧れの上司は、ほんわかした楽しい雰囲気を作るように努めていたが、僕は違う。リピーターを作るために徹底的に番号交換や、営業ラインをさせて、成績の悪い子は僕が直接管理指導しよう。
・・・ね、やばいっしょ???wwwww
こんなん人が付いてくるわけがないwwwww
実際に始めてみれば、雰囲気を引き締めるために厳しくしたはずが、ただ単に怖がられているだけで、僕の言うことを表面的に聞くだけの覇気のない集団になっていました。かなり口酸っぱく言ったため遅刻や欠勤こそ少なかったですが、楽しそうに仕事をしている子はかなり少なかったです。当然売り上げも芳しくありませんでした。
当時、人の管理がこれほど難しいとは思いませんでした。やる気を出させるためにあれこれ提案して、守らせようとしても、なかなか自分から動かない。なぜだと問い詰めすぎるとハジけて辞めてしまう。辞めるのもラインで一言。「店長が厳しすぎてついていけませんので、辞めます。」
答えが見えていても、それをどれほど論理的に諭しても分かってもらえない日々が続き、しばらくノイローゼ気味になりました。
そんなこんなで試行錯誤を繰り返し、いくつか経営初心者として学んだことがあります。
それは、
①ルールを作りすぎて人を縛ってはいけない
どの職業で人を管理するにしても、ルール作りは大切です。しかし、それがだんだん目的を忘れ、自分の言うことを聞かすためのただの手段になることがあります。
もちろん僕も、店内ルールを作ったときは純粋に人を管理するため、誰にとっても平等なお店にするためという高尚な目的がありました。ルールを守ってくれる子がきちんと報われるようにしたいと考えていたんです。
でも、あまりにも徹底が難しかったため、安易に厳罰化したり、ルールを守らせるためのルールを増やすたびに本来の目的から遠ざかっていくのでした。結局店内ルールは「僕の言うことを聞かないやつを炙り出すシステム」でしかなくなってしまったのでした。
②舐められない為に厳しくするというのは、自信のなさの裏返し
そもそも人はどうやって舐めていい奴か、舐めてはいけない奴かを判断するでしょうか?
ただ「ルールを守れ!守らんなら怒るぞ!」という人は、意外と怖くないでしょう? つまんない人間だな、自分に自信が無いから法律を盾にしてわめいているんだろうな、と勘のいい女性は気づいています。
舐められない人というのは、普段優しくても敵に回したらまずいな、もしくは手抜きを見透かされてるな、と感じる位仕事ができる人のことでしょう? ただヒステリックに怒るだけの人は「自分は管理者の器ではありません」と自ら宣言しているようなものです。
③キャラ選択なんぞ考える前に、とにかく自分を削って信頼を得る努力をしよう
自分の印象をコントロールできるのは、最初の見た目だけです。実際にある程度の期間仕事ぶりを見てしまえば、かっこつけてるなとか、弱みを見せないように強がってるだけだなとか、簡単に見透かされてしまうんです。
あえて強がって厳しいキャラにしようとか、本質ではないズレたことを考えている暇があったら、キャストの給料を一円でも多く稼がせてあげるために、自分で路上に出るとか、休みの日に同業店周りをするとか、苦しくてもやれることはいっぱいあるはずです。
そういったことは中々すぐ報われないですが、同じように同業周りを一生懸命やっているキャストは必ず気づいてくれます。
④目標を何種類も作るな、そしてそれを人に押し付けるな
あれも達成しよう、これも達成しようと、責任者になったら目標をいくつも掲げたくなるのは至って自然なことです。世間では目標を高く掲げることが是とされていますから。しかし、売り上げアップも、遅刻当欠ゼロも、指名本数も全部成し遂げてやろうなんて、無理です。
マネジメントに限った話ではありませんが、目標設定は一つに絞ってこだわった方がいいです。それも、売り上げを上げる、みたいな漠然とした一つではなく、客単価を上げるのか、回転数を上げるのか、開店時間を変更して総客数を増やすのかなど、選択肢はいくらでもあります。
その中で一つだけに絞って徹底的にやれば、その項目がどの程度売り上げ改善に寄与するかわかりやすくなります。自分含めキャストの体力や、気力が持つかも考えなければならないので、必然的に現実離れした案は淘汰され、ある程度アイデアを絞ることができるでしょう。
⑤人と自分は同じではない
これがのちの療育中振り返ってもっとも身に染みたことですが、
他人はみんな自分と同じことを考えて生きているわけではないのです。
自分にとって正しいことが、誰にとっても正しいこととは限らず、人によっては真逆の信念をもって生きている人もいるんです。そんな人にいくら情熱をもって説教しても、相手からしたら「自分の価値観を理解してくれない視野の狭い人」としか映りません。
自分と人は違って当たり前。自分と違うことに面食らってガッカリしたり、怒ったりしても仕方ないんです。
超絶乱暴にまとめると、
世の中は少し理不尽なくらいが当たり前だということです。
言うことを聞かない部下だとか、そんなのいて当たり前です。
自分の強いこだわりを中々捨てられないアスペルガーの人にとっては、管理職を経験することは相当な負担になると思います。
向いてないと諦めて別の道を進むのも全然いいと思いますし、そのまま耐え続けてもいいでしょう。それはあなたの人生です。
もし昇格が決まってこれから人の管理をする立場になった人のために、僕の失敗談をお話ししました。
これからも皆さんにとって有益な情報をどんどん提供していきます。
応援よろしくお願いいたします!
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