<第71回目>学生の発達障害グレーゾーンの方は、とにかくバイトしたほうがいい

ADHD

みなさまお疲れ様です。

最近「好きなことで生きていく」という言葉が10代、20代の若者の心をぐっと掴んでいるようです。

僕も基本的には賛成です。仕事の種類も多様化していますし、今までにない仕事を作り出せる環境が整ってきています。

多くのYouTuberで活躍されている方も、「学生時代にアルバイトなんかしてないで、貴重な10代の時間は、自分の興味あることに没頭して将来の仕事につながるようなことを探せ」とおっしゃっています。

たしかにその通りではあるんですよ。なにも考えずに携帯代やデート代を払うためにコンビニや飲食店でアルバイトしていたら、将来を見据えて動いてる人には永遠に追いつけないほどの差が開いてしまうかもしれません。

 

しかし、これはあくまでも定型発達の人が、定型発達の人に向けた話だと思います。

僕がタイトルのように、発達障害グレーゾーンの学生さんはアルバイトをやるべきだというのは、もっと重要な意味があるんです。

今高校生以上でASDやADHDの診断を受けている方はかなり増えていると聞きますが、実際その中でアルバイトを経験している方はどのくらいいるでしょうか?

多分親御さんからしても、お子さんにアルバイトさせることをためらってらっしゃる方が多いのではないでしょうか?

それは学生の本分が勉強であるということや、実家住まいで金銭的に困窮しているわけでもないのに、無理して慣れないところに傷つきに行く意味があるのか?といういろんな心配もあってのことと思います。

 

しかし、ASDグレーゾーンの方が社会に出て最初にぶつかる大きな壁は、給料などお金の管理や、会社でのコミュニケーションよりもずっと手前のところで立ちはだかっているんです。

 

それは、そもそも仕事というものが、働くということがどういうことなのか実感がわかないという根本的かつものすごく重要な問題です。

 

学校という暗記テストの成績だけで優劣がついた時代とは違い、自分から進んで仕事をもらい、数字を作って義務を果たすことの意味が、根本的にリアルじゃないんですよ。

そして職場の人間から信頼を得たり、毎月営業のノルマを達成することがどれほど肉体的、精神的にしんどいことなのかを知り、あまりのきつさに面食らってしまうことがあります。

同僚や上司が、あきらかに意味のなさそうな会議に何時間もかけたり、疲れているにも関わらず仕事終わりに飲みに行くことの意義も、まったく理解できなかったりします。

 

しかし、残念ながら日本におけるほとんどの仕事とはこういうものだということを、学生時代から一部でも身をもって知っておくことと、卒業してからいきなり直面するのとでは精神的な負担度合いがまったく違います。

 

また、学生時代のアルバイトは、時間の許す限り真剣に取り組んだ方がいいと思います。

これまた時代に逆行するようなブラック企業のオヤジの発言に聞こえるかもしれませんが、これにもちゃんと意味があります。

 

仕事は基本的なルーティンができるようになったら、少しずつ信頼を得て新人教育を任されるようになります。

これこそが本当に重要なことなんです。

人に教える行為が重要なのではなくて、人に教えることを通して、

自分と他人は全く別の生き物で、全く違う環境に生まれ育ち、全く違う信念やモチベーションのもとに生きているということを、身をもって知ってもらいたいのです。

 

 

例えば、自分が面倒をみている後輩が遅刻したり、何回教えてもメモも取らず適当に時間を過ごしていたらどうしますか?

多分ブン殴りたくなるでしょう。

 

もしあなたがASD当事者なら、「発達障害の自分は一人前になるために、みっともなくてもメチャクチャ一生懸命メモしたり、何回怒られても遅刻当欠もせず食らいついてきたのに、なんでこいつは人並みにできるはずなのに最低限の努力もしないのだろう!

と怒り心頭になるかと思います。

ASDの方は他者の心情を慮ったり、空気を読んだりするのが苦手で、明確な秩序や白黒はっきりしたルールを渇望します。また、自分の考え方は基本的に正しく、他者もすべからく味方をしてくれるものと思い込む傾向があります。

 

おそらく、前述のようなナメた後輩がいたら、あなたは上司にこう言うでしょう。

あいつは絶対にクビにすべきですよ!」と。

しかし、ちょっと待ってほしいのです。

クビにすべきかどうか判断したり、仕事ができないやつだと決めつけて教育を放棄するのは、あなたの職権を超えています。

もし上司からこんなことを言われたら、さらに頭に血が上ってしまうかもしれませんが、これは事実です。このことが承服できないならば、辞めるかその上司よりも出世して人事権を持てる立場になるしかありません。

うまく立ち回ってその後輩をクビにできるように根回しするのは、時間と体力の無駄だと多分いつか気づくでしょう。

 

話が長くなってしまいましたが、こういう時に上司にいくら後輩のクビを直訴しても無駄だということも、自分の熱い正義感が組織では簡単に通用しないんだということもすごく勉強になるんです。

 

・自分と他者は、お金が関わる職場では全く違うことを考えて働きに来ているということ

・そして相当な努力をしないと部下たった一人のマネジメントすら難しいということ

 

これを学べるだけでもASD当事者の中では相当大きなリードです。

これらを真剣に学んだうえで、どうしても自分には合わないようであれば、初めて自分の力で稼ぐことを考えても遅くないと思います。

なぜなら学生で時間があるのですから。

僕は運よく、銀行を辞めてからそれを学ぶことができました。

今でもキャバクラの店長をしていた時の経験は本当に役立っています。

10代20代の若い女の子の自己主張は、完全に一般常識を超えてきます(笑)。遅刻して注意したら逆ギレして勝手に帰ったり、それを当欠扱いにしたらさらにキレてくるなど日常茶飯事でした。

それが毎日のように起こることで、「自分と他者は全く別のことを考え、別のことを大事にして生きているのだ」と初めて痛感したんです。このことは本当に勉強になりました。

 

学生さんご本人、もしくはご家族の方がいらっしゃいましたら、できる範囲でいいので、なるべく早く働くということの実感を教えてあげてください。

それは過保護にするよりも本人にとって最大の財産になります。

 

これからも皆さんにとって有益な情報をどんどん提供していきます。

応援よろしくお願いいたします!


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