Living with a SEAL: 31 Days Training with the Toughest Man on the Planet (English Edition) |
巷にあふれる自己啓発書の中でもっとも硬派だと思います。
著者で実業家のジェシー・イッツラーは音楽界でもラッパーとして活躍していた大富豪です。奥さんもスパンクスという企業のCEOで、パンツとレギンスで大きなシェアを持っています。
人生をあらゆるチャレンジの場ととらえ、思いつけばなんでもやってみる非常に面白い方です。
ジェシーが「その男」に初めて会ったのは、サンディエゴで行われるウルトラマラソンでした。24時間耐久、補給所なし、必要なものはすべて自分で運ぶ地獄のようなレースなので、ジェシーは6人チームで万全の準備をして臨みました。
出発直前妙な男を見つけました。こんなヤバいレースに、クラッカーひと箱と水だけをもってスタートを待っているムキムキの黒人男性がいたのです。
しかも一人で。
後日分かったのは、この男性はアメリカのネイビーシールズに所属する現役の軍人だったということです。ジェシーはこの超人に強く感銘を受けました。
どうやったらあんな無茶なことを涼しい顔で成し遂げられるのか。
どうやったらあれほどの精神を身につけることができるのか。
彼は決意します。
自宅にこのシールズ隊員を呼び、いつ、いかなる命令にでも従う約束で一か月間付きっきりで鍛えてもらうことにしたのです。
これがもう本当に鬼。地獄の鬼でも泣くんじゃないかっていうくらい鬼。
ジェシーはまともに鍛えたこともないのに、初日から懸垂100回を命じられますwww
どんなに苦しくてへばっても、クリアするまで何回でもやらせます。限界までやって45秒休憩、限界までやってまた45秒休憩・・・
1時間半以上かけて、なんとか懸垂100回をこなしました。
他にも、「今日は椅子に座って寝ろ」「今から会議?知るか、腕立て500回やるまで行かせないぞ」など・・・
こんな調子で時にどう考えても無理だろ!というような命令を毎日繰り出すシールズ隊員(現役のため本名非公表)ですが、徐々にジェシーは体力をつけ、食らいついていくようになります。
最終日は非常に感動します。体力に自信のなかったジェシーが、腕立て伏せを1日で1000回こなせるようになったのです。
ただのスポコン筋トレストーリーのように聞こえますが、ネイビーシールズが実際に困難に出会ったとき、どうやって乗り越えるのかをジェシーに伝えるシーンが随所にあり、非常に興味深いです。
ネイビーシールズになるための訓練は世界一過酷なことで有名です。中でも、ヘルウィーク(そのまんま、地獄の一週間)という、ほぼ不眠不休で訓練し続ける週があり、死者が出ることもあります。
訓練生が何度もへばって立つこともできない時、教官がこんな教えを伝えるそうです。
40%ルール。
人間は、もうこれ以上はできない、やりきった、と思ったときは、限界の40%までしかきていない
のだそうです。
この字面だけをみるとどこのブラック企業かと思いますが、これは世界で最も屈強な戦士たちが最初に教わることであり、何があっても諦めるなという大事なルールだそうです。
実際、ジェシーはインターバルを入れながらではありますが、シールズ隊員のワークアウト要求をすべて達成してみせます。
こんなの無茶だ!という要求を、なんだかんだ達成するまで傍でじっと見守ってくれる隊員の無言の優しさ(圧力?(笑))、どうしてもだめそうならこんな時何を考えたらいいのか?など時に素晴らしいヒントをくれるのです。
いまでも時々読み返して元気をもらう本です。
正直なんちゃらの習慣とか、なんとかの成功法則みたいな内容の薄い本より、はるかにためになります。
もし興味があれば読んでみてください。素晴らしい本です。